麻生内閣メールマガジン(第12号 2008/12/25-2009/01/01)
この人に聞きたい
[日中韓首脳会議の会場から](独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館長 三輪嘉六)
 12月13日(土)、九州国立博物館を会場として日中韓首脳会議が開催されました。

 博物館でこの種の会議が行われたことはきわめて異例のことで、日本の国立博物館の歴史の中でも特記すべきことといえます。

 当館は、平成17年10月に福岡県太宰府市で開館した、東京、奈良、京都に次ぐ日本で4番目の国立博物館です。館のコンセプトは、九州の立地を生かして「日本文化の形成をアジア史的観点からとらえる」としています。つまり、いつの時代にあっても九州の地は、中国、朝鮮半島などアジア各地との交流を図る中で常に基点となってきた地理的特色をもっており、相互の関係をみるうえで重要な位置づけにありました。

 今回の首脳会議の会場に選ばれたのは、まさにこうしたコンセプトによるものだと思っています。博物館というと、どうしても展示や特別な展覧会の場というのが一般的な認識であり、理解であると思いますが、当館では、これからの博物館のあり方として、多目的な活用を標榜してきました。今回の首脳会議の開催により、かねてからの主張の一端が実現できたと思っています。

 今回、館内の様子のほんの一部を3カ国の首脳にも垣間見ていただき、興味深げに2、3の質問も発せられました。会場として、日中韓首脳会議の場と、日中首脳会談の場の2室を設営しましたが、場の雰囲気づくりのため、いくつかの工芸作品の陳列を行いました。

 ちょうど、新年元日から予定している「工芸のいま 伝統と創造−九州・沖縄の作家たち」と題する特別展の準備をしていましたので、それへの出陳作品10数点を陳列して、博物館らしいもてなしの心を表しました。

 また、日中韓の文化的特色を発揮できるような会場づくりにも心掛け、3カ国の首脳を迎える場としての工夫も行いました。日本文化の礎の1つである縄文土器(火炎土器)、奈良時代に中国の唐三彩の影響下で生まれた奈良三彩、そして5世紀以降朝鮮半島から影響を受けた日本の須恵器文化を併せて紹介しました。

 特に中国・韓国との文化的交流を当館のテーマとして大きく掲げているだけに、こうした展示陳列は意義深いものがあったと考えています。

 当館では、これまでの取り組みにより、開館以降約551万人の入館者がありました。日中韓首脳会議の開催をきっかけとして、今後さらに3カ国の交流を深める架け橋となり、常に新鮮な取り組みを目指した博物館づくりを展開したいと考えています。ぜひ多くの方々にお越しいただきたいと思いま す。

※ 写真を見る

※ 執筆者の紹介