麻生内閣メールマガジン(第32号 2009/05/28)
農林水産大臣の石破茂です。
[「つながり」を強めたい(子ども農山漁村交流プロジェクト)]
 温暖な気候、四季を通じた降水と豊かな土壌、国土の三分の二を占める森林、暖流と寒流がぶつかる好漁場を擁した世界第六位の排他的経済水域。日本は世界有数の、農林水産業に適した国である。農林水産業は単に食料の提供のみならず、国土保全や環境にも極めて大きな役割を果たしている。

 にもかかわらず、急速な高齢化、後継者難、所得の著しい減少、耕作放棄地の増大――我が国の農林水産業はまさに崩壊の一歩手前ともいうべき状況にある。農産物のカロリーベース自給率は四割と先進国中最低、木材は二割にすぎない。生産と消費の現場は遠く、生産者と消費者の意識の乖離も大きい。この一体感のなさは、近年急速に拡大しているようにも思え、これを克服せずして農林水産業の真の再生はあり得ない、と実感するのである。

 ほんの数十年前には、地方はもちろん都市でも、自然はもっと身近に存在した。季節は自然が教えてくれ、そのたびに新たな季節の楽しさや去りゆく季節への名残惜しさを実感したものだった。

 しかし今や多くの人々にとって、自然は隔絶された存在となった。臨海学校も林間学校もいつの間にかほとんどなくなり、自然と接することがあってもそれは人工的に提供された、危険のない、一部の楽しさだけを味わう時間と空間だけになってしまったように思う。私は山陰・鳥取で育ったが、夏休みの大半は海や山で過ごし、自然の素晴らしさも、恐ろしさも、文明生活のありがたさも脆さも、ある程度知ることができた。農山漁村があり、そこに働く人々がいることで国が成り立っていることも実感した。その機会が与えられない今の子どもたち、そして彼らが担う将来の日本は、一体どうなってしまうのだろうとの危惧を、いつも感じている。

 農林水産・総務・文部科学3省の連携で、平成20年度より「子ども農山漁村交流プロジェクト」(愛称:ふるさと子ども夢学校)が行われている。全国の子どもたち(主に小学五年生)に、農山漁村に滞在し、生活を体験することを通じ、「生きる力」を身につけさせるのがねらいである。

 「生きる力」がそう簡単に身に付くとは思えないが、とにかく第一歩ではある。受け入れ側も飾る必要は全くない。ありのままを見せ、素晴らしさと恐ろしさを体験させることが大事なのであり、自然を侮る者、農山漁村を軽んずる者は容赦なく叱ればいい。そして送り出す側も過度な心配は必要ない。帰ってきた子どもたちは、間違いなく一廻り大きくなっているはずだ。

※ 子ども農山漁村交流プロジェクト(農林水産省ホームページ)

※ 写真を見る
※ プロフィール